世界の製薬大手、大型新薬を中国へ 規制緩和追い風
- 2018/3/4 22:00
- 日本経済新聞 電子版
- 中国の市場は魅力たっぷりですね。3月4日の日経記事より
中国の医薬当局である国家食品薬品監督管理総局(CFDA)は17年10月、臨床試験の新たな制度を施行。一定数の中国人が参加すれば、国際的な試験データをそのまま利用できるようになった。結果として、中国での試験関連の手続きを1~2年短縮できる。
CFDAはこれとは別に、販売許可の審査期間が短くなる制度も16年に導入。2つの新制度を使えば、現地での開発着手から発売までの期間を最長3年ほど短縮できる。
期間短縮はコスト削減にもなるため、製薬大手が一斉に動き始めた。英アストラゼネカは肺がん治療薬「タグリッソ」の販売承認を17年に取得。英グラクソ・スミスクラインは世界で年間3500億円の販売実績を持つ抗エイズウイルス(HIV)薬を発売した。
米ブリストル・マイヤーズスクイブは小野薬品と共同開発し、肺がんに効くオプジーボの販売承認を申請しており、年内の発売が見込まれる。
ほかの日本企業では、エーザイが肝臓がん治療薬「レンビマ」の販売承認を申請した。アステラス製薬は主力の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の発売を準備中だ。
米コンサルティング会社IQVIAによると、16年の中国の医薬品市場は1167億ドル(約12兆円)。米国に次ぐ世界2位の市場だ。21年には最大で1700億ドルと5割近く成長するとされる。
背景には高齢化の進展がある。17年の中国の高齢者(60歳以上)は16年より約1千万人多い2億4090万人だった。日本の総人口の約2倍だ。
所得向上も大きい。中国の民間調査では、世帯収入が月1万2千元(約20万円)を超える層が21年には16年の2倍の1億世帯に達する見込み。高い薬代をいとわない患者が増えるのは確実だ。
中国の医薬品市場は現在、特許切れの成分でつくる割安な「後発薬」が主流で、新薬は2~3割にとどまるとされる。今後はがんや肝炎に効く高度で高額な新薬の比率が高まるとみられる。
製薬大手による中国拠点の強化も続いている。アストラゼネカは17年11月、がんや循環器疾患の薬を開発する合弁会社の設立を発表した。スイスのノバルティスは米国、スイスに並ぶ主力開発拠点を上海に設立済みだ。販売では、大日本住友製薬が22年までに精神疾患薬の医薬情報担当者(MR)を約3倍の100人に増やす。
一方で、高額な新薬に公的保険がどの程度適用されるか不透明なことや、海外ブランド名を冠したニセ薬の横行など、中国特有の課題も残る。