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ロシア医薬品サプリメント市場訪問報告

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最近、ロシアに関してニュースをよく耳にするようになりました。しかしウクライナ?クリミア半島?経済制裁?一体何が起こっているか日本にいる私達にはわかりません。ロシアの情報があまりにも少ない事が原因です。実は、北海道から見える一番近い外国でもあります。
最近、ロシアの健康に関することで大きな変化が起こっています。
2014年12月にモスクワで開催されたロシア最大の医薬品・健康食品展示会「アプテカ」に参加しましたので、何回かに分けて、ロシア・モスクワの最新の情報とロシアの健康に関する医薬品・サプリメント市場をご紹介します。
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昨年のロシア経済は国際問題と原油の価格変動などで大きく揺れています。そして市場を反映するデータが乏しいのですが、2013年のデータでロシアの医薬品市場は1.045兆ルーブルと報告がありました。毎年10%以上の成長をするため、1017年には1.552兆ルーブルと予測しています。1ルーブルは昨年3円を超えていましたが、現在約2円ですので2兆円市場で3年後に3兆円市場になり、IMSでは2017年には世界で8位の市場になると予想されています。
ロシアの医薬品市場の構成ですが、Commercial segment が57%、Special Governmental Programs Hospital purchases 28%、dietary supplements 15%です。(Source: DSM Group )ロシアではドラッグストアで医薬品を購入する習慣があり、こちらを反映するデータです。このデータのもう一つの興味深い点はdietary supplements 15%で、既に1500億ルーブルで3000億円市場であることです。

ロシアの健康について

平均寿命が男性64.9歳女性76.3歳(2012年)ですので、他の国に比較すると低い水準です。
循環系の疾患や糖尿病、癌などの増加とともに、現在ロシアで健康志向が高まっています。
自分の健康は自分で守る意識の高いロシアでは、身近に薬局で相談を行い、薬剤師の指導のもと医薬品やサプリメントを購入します。ロシアの薬局では医薬品と同時にサプリメントが販売されており、もちろん医薬品の売上のほうが多いのですが、最近サプリメントの売上も上昇しているということです。ロシア通信のサプリメントの販売額の記事によれば、調査会社の報告にて2011年1~11月には薬局経由で前年同期比24%増の10億9000万㌦分が販売され、他方、スーパーマーケットやインターネットなど、その他の経路では1億~1億6000万㌦程度が販売されたと報告されています。サプリメントの販売は薬局が主流で、継続購入者は70%であり、通信販売が振るわないのは、どうも輸送がまだ整備されていないことの問題のようです。
ちなみに、先日私のお会いしたドラッグチェーン店の社長のお話では、2014年は前年比で144%と言っていました。さまざまな報告がありますがロシアのサプリメントの市場は毎年10%以上の伸長を見せていますので、現在は3000億円を超えているようです。
まだ小さいと思われるでしょうが、ロシアでの医薬品とサプリメントの認証登録制度が整備されてきましたし、ロシアの方の生活スタイルが大きく変化してきていますので、ロシアは今が最大のチャンスです。

ロシアは日本製品が好き

ロシアでのサプリメント市場をご紹介するには、大市場のモスクワをご紹介しなければなりません。既にモスクワ訪問も数回になり、多くの友人が出来ましたので、モスクワについて簡単にご紹介させていただきます。
皆さんは、人口約1400万人のモスクワには、日本料理屋が約1,000店舗あり、家族や若い人たちが箸を持って楽しそうに食事をしていることをご存じでしょうか?
若い子供連れの家族で賑わう店内では寿司が人気で、両親が小さい子供に箸の使い方を教えています。
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モスクワの街を歩くと「sushi」という看板をたくさん見ます。また、先日オープンしたうどんのチェーン店は既に6店舗になりました。昼食時には天ぷらうどんやカレーうどんの日本語での注文が飛び交います。世界の人口1千万人以上の大都市で日本料理が中華料理店を上回っているのはモスクワだけです。
街の風景は完全にヨーロッパですが、金色の「玉ねぎ屋根」で光っているロシア正教の寺院がたくさん建ち、片側4車線以上の大きな通りを高級車がかなりのスピードで走っています。ロシアはベンツの販売台数がドイツより多い国で、街の中心部を走っている地下鉄は2〜3分間隔で常に満員で、各駅には彫刻や絵画が飾られまるで美術館のようです。
歴史的な建物だけでなく、モスクワシティという60階以上の高層ビルが何本も建てられている地域があり、まるで一時の新宿高層ビル群のような存在です。最上階にある高級レストランでは水平線に沈む素晴らしい景色を見ることが出来、お洒落なセレブが集まり賑わっています。
ロシアではもう何年も日本ブームが続いており、アニメ、ゲーム、寿司、文学、武道、電気製品、自動車、などなどが熱狂的に受け入れられています。私のロシアの友人2人が乗っている車も日産の大きなRV車でした。
寒いロシアのイメージですが、実際は熱い市場であることは間違いありません。

ロシア経済の実力

ロシアのGDPは世界8位です。識字率はBRICSと言われる国の中で一番高く99.6%で、ちなみに日本は99.8%、アメリカ99.7%、中国90.8%、ブラジル86.4%、インド74.04%です。
人口は、ユーラシア経済圏というカザフスタン、ベラルーシ、アルメニアを含んで1億7千万人に登ります。日本の1.5倍となります。(ユーラシア経済圏とはこの国の中では関税や許認可が同じ基準で行われるという経済圏のことです)
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最近のロシアの経済事情ですが、国際情勢でルーブルは米ドルに対して半分ほどに落ち、主な産業が原油とガスの輸出であるロシアは苦戦をしていると聞いていましたが、今回私の見たモスクワのどこのレストランでも、スマートで素敵な女性たちや男性で混んでいますので、ロシアの方のたくましさを感じました。最も外貨準備高はたくさん持った国ですのでそれらが余裕につながっているのかもしれません。
またモスクワについて、プライスウォーターハウスクーパースが公表した調査によると、2008年の都市GDPは3210億ドルで世界第15位。欧州ではロンドン、パリに次ぐ第3位。2011年3月、アメリカの経済誌『フォーブス』が公表した統計によると、10億ドル(約850億円)以上の個人資産をもつ大富豪の人数で、モスクワはニューヨークを抜いて世界一の都市になったとしている。
2011年にモスクワ市の予算規模が、ニューヨーク市に次いで第2位となり、 2012年に億万長者の数が最も多い都市となったと紹介されています。(ウィクペディアより)

アプテカ(薬局)展示会

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2014年12月にモスクワで開催されたロシア健康週間の中で「APTEKA2014」(アプテカは薬局という意味)が開催され、既に21回目のこの展示会に参加しました。会場はモスクワシティーのエキスポセンターです。同時に開催されている医療機械展示会には数社の日本の企業が参加をされていますが、残念ながら、アプテカには日本企業は参加していません。
アプテカでは医薬品から健康食品、健食の原料などが出品され多岐にわたっています。参加者も2万人近く集まる会ですから、来年日本の健康食品に関連している企業の方は是非参加も考えたいと思います。
ロシアは原油や天然ガスの輸出が国のGDPの中で大きく占める国です。医薬品や健康食品の製造業は海外からの輸入が多いので国内の産業が発達したという印象はありませんでした。
昨年までの企業の参加は、ヨーロッパやインド、韓国や中国の企業の展示が多い印象でしたが。
今年はロシア企業の健康食品製造の展示が出始めたのが目新しい変化です。自社で製造を始めている会社も展示を行っていたりしています。目立った商材は「オメガ3」でした。
これは、世界の情報が入ってきてロシアの健康食品の市場が増大していることです。

ロシアの方の健康管理と薬局の役割

ロシアの平均寿命は男性64.9歳女性76.3歳(2012年)と報告されています。問題になっている疾患ですが、心臓血管疾患、癌、糖尿病、肝臓疾患、神経内科疾患等で他の国と変わりません。アレルギーも増加中と聞きましたしダイエットも深刻な問題となっています。
では、ロシアの方は一般に健康や医療についてどのようにされているのでしょうか?
皆保険の金額が充分ではないためもあるようですが、多くの人は体の調子が悪い時はすぐに病院へは行かず、薬局で専門家(薬剤師、販売員、医師を置くところもあります)のアドバイスをうけや医薬品やサプリメントを購入します。
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多くの処方箋薬も窓口で購入できます。モスクワにて重要な医療の一端を担っている薬局は、緑色の十字マークが目印ですが町中で一番目立つ存在です。日本のコンビニのような間隔でたくさん存在します。薬局では一般の雑貨製品からサプリメント、OTC薬品、処方薬品まで販売されていますのでロシア人の健康にとって重要さがわかります。
ちなみに化粧品は薬局ではなく、きれいなディスプレイで飾られた化粧品専門店で販売されています。

薬局経営者からの薬局市場の現状と今後

今回、ロシアのある薬局チェーン店の社長からお聞きした話をご紹介します。
昨年2014年は500店舗から620店舗の規模になり120店舗の拡大を行い、年商は300億円となり前年比144%成長とロシア内ランキング8位から7位へ成長したそうです。
これからも健康食品や化粧品などは大きな成長を期待できるとのお話でした。
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国内産の商品と外国産の商品の割合ですが、国内の製品が70%であるが、売上は逆で70%が輸入品とのことでした。これは信頼できる製品が評価されて購入につながっているということです。
日本からの製品について伺うと、日本製には高品質なイメージがあり、日本というブランド力は健在で今後増やしたいと話されました。もう一つの戦略として自社ブランドでの拡大とのことでした。
今回、上記の薬局以外にも健康美容に関する市場が伸びているとお聞きしました。
また、あるロシアのサプリメント販売会社の方も低価格の製品群と高価格の製品群を揃えていきたいと話されていました。

今後のロシア市場について

今のロシアの健康や美への関心の高まりは、日本のバブル崩壊以降や、リーマンショックの後のアメリカも健康食品が伸びていたように今後かなりの期待ができます。
そして、まだ日本製のサプリメントや医薬品は薬局にほとんどありませんので、最大のチャンスを迎えていると言えます。
ところで、ロシアでは国内で販売される製品すべて許可が必要です。医薬品、健康食品の販売のための許可取得は信頼されるロシアの企業の方と相談していかなければなりません。
健康食品、サプリメントは多岐にわたって存在しますが、製品自体の品質が高い製品のニーズがありますので、日本製品の高品質製品であることを上手に宣伝することで大きな市場に打って出られます。

最後に

昴コミュニケーションは、ロシアの方々と連携して日本製品のロシア進出に取り組み、販売許認可取得を行う企業や、販売網を持つ企業との連携を持っています。
先ほどモスクワには日本食レストラン1000軒あるとご紹介しましたが、日本人のシェフが10名いません。食事や健康食品、化粧品だけでなくすべての今後の問題ですが、日本を好きな方や期待されている方が多いのもかかわらず、日本のことを紹介する人がいないことが原因です。
しかし、ロシアの情報を知る機会があまりにも少ないことも問題です。
どこの国でもそうですが、モスクワでのマーケティングは慎重に進め、ロシアの方とのコンタクトを取り信頼関係を作る必要があります。実は、日本には既に有るのに、ロシアにはまだない製品がたくさんあり、大きなチャンスが有ります。一緒に御社の製品を紹介しに行きませんか?
ぜひご興味のある方のご連絡をお待ちしています。
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・ロシア訪問にて市場調査、現地企業との面談ツアー企画
・2015年アプテカへの企業展示
・海外販売への興味のある方のご連絡をお待ちしています。

株式会社昴コミュニケーション 代表 川崎 力
営業コンサルタント 元製薬会社勤務、都内大病院、札幌、中国(大陸)の勤務経験より、日本、中国、台湾、ロシアの健康関連製品の販売網や医療関係者などと連携があります。
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